産業廃棄物の区分を判断するうえで重要になるのが「排出時業種の特定」です。これは、廃棄物が発生した時点で、どの業種の事業活動から生じたものかを確認する考え方をいいます。見た目や性状だけで決めるのではなく、排出の背景にある事業活動の内容が判断材料になります。ただし、業種によって扱いが変わるのは一部の品目に限られており、すべての廃棄物が業種で振り分けられるわけではありません。この前提を取り違えると、区分の判断そのものを誤ることになります。
業種が問われるのは「業種限定のある七品目」
廃棄物処理法第二条第四項は、産業廃棄物を「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥などの政令で定めるもの」と定めており、施行令第二条により二十種類が指定されています。このうち、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体の七品目には業種限定があり、指定された業種から排出された場合にのみ産業廃棄物となります。一方、廃プラスチック類や金属くず、がれき類などは、業種を問わず産業廃棄物として扱われます。
同じ「木くず」でも扱いが分かれる
木くずの場合、建設業(工作物の新築・改築・除去に伴うもの)、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業などから生じたものが産業廃棄物とされています。これに対し、飲食店や小売店で使っていた木製の椅子を廃棄する場合は、これらの業種に当たらないため、事業系一般廃棄物として市町村の定めるルールに従って処理することになります。なお、貨物の流通に使用した木製パレットは、業種を問わず産業廃棄物です。
判断の基本ステップ
実務では、まず廃棄物の品目を確定し、次にその品目に業種限定があるかを確認し、最後に排出時点の事業活動が指定業種に当たるかを見る、という順序で整理すると誤りが減ります。業種の判断は、日本標準産業分類の区分によるのが一般的な運用です。また、建設工事に伴って生じた廃棄物については、廃棄物処理法第二十一条の三第一項により、原則として元請業者が排出事業者となる点も押さえておく必要があります。
よくある誤解
回収業者や処分業者の業種で判断してしまう、品目名だけを見て産業廃棄物と決めつける、下請業者を排出事業者として契約してしまう、といった誤りが見られます。また、同じ敷地内で複数の事業活動が行われている場合、どの工程から出たものかによって判断が分かれることもあります。区分を誤って委託した場合、無許可業者への委託や委託基準違反として、排出事業者側が責任を問われるおそれがあります。
まとめ
排出時業種の特定は、「物」だけでなく「どの事業活動から生じたか」を見る判断基準です。品目と業種を順に確認し、迷う場合は排出場所を管轄する行政庁に確認しておくことが、不適正処理を防ぐことにつながります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。