交通事故に遭ったとき、加害者側の任意保険会社を通さずに、被害者自身が自賠責保険会社へ直接請求できる制度が「被害者請求」です。この被害者請求には必ず意識しておくべき期限があり、それが原則3年の時効です。
被害者請求とは
被害者請求は、自動車損害賠償保障法16条1項に基づき、被害者が自賠責保険会社へ損害賠償額の支払いを直接求める手続きです。示談がまとまっていない段階でも被害者が単独で請求できる点が大きな特徴で、治療関係費・休業損害・慰謝料・文書料などが対象になります。ただし支払われるのは自賠責保険の限度額の範囲内で、傷害による損害は被害者1名につき120万円が上限です。これを超える部分は、加害者側へ別途請求することになります。
時効は原則3年
被害者請求権の消滅時効は3年です(自賠法19条)。条文上の起算点は「被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時」と定められています。ここは「加害者を知った時」と覚えられていることがありますが、自賠法では加害者ではなく保有者と規定されている点に注意が必要です。なお、賠償責任の確定前に一部の支払いを受けられる仮渡金請求についても、同じく3年の時効が定められています。
起算点は損害の内容で異なる
実務上は、初日不算入の原則により次のとおり整理されます。傷害による損害は事故発生日の翌日から3年、後遺障害による損害は症状固定日の翌日から3年、死亡による損害は死亡日の翌日から3年です。同じ事故でも、請求する損害の内容によって数え始める日が変わります。
「2年」となるのはどのような場合か
時効が2年とされるのは、平成22年3月31日以前に発生した事故です。保険法の施行に伴う改正により、平成22年4月1日以降に発生した事故は3年に延長されました。現在起きている事故については、原則3年と理解して差し支えありません。
よくある誤解
「治療が終わってから考えればよい」「保険会社と話しているから大丈夫」「示談が成立しないと請求できない」といった思い込みは少なくありません。しかし時効は自動的に進行し、示談交渉中であっても止まりません。
期限が迫っているときは
自賠責保険では、時効の完成前に保険会社へ時効中断(更新)の承認を請求する取扱いがあります。承認されれば、その日から改めて期間が進行します。ただし時効の完成後は利用できないため、遅れそうな場合は早めに保険会社へ確認することが重要です。
まとめ
被害者請求は、請求書を出せば足りるものではありません。診断書や診療報酬明細書、事故状況を示す資料などを整えたうえで行う必要があります。書類の収集には想像以上に時間がかかるため、まだ余裕があると考えているうちに期限が近づくことも珍しくありません。早めに状況を整理しておくことが、結果的にご自身を守ることにつながります。
被害者請求の期限や必要書類にご不安がある方は、このページ内のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。行政書士吉田哲朗事務所では、被害者請求に必要な書類の作成・収集のお手伝いや、手続きの流れのご説明に対応しています。なお、保険会社との示談交渉の代理は弁護士法により行政書士が行うことはできません。愛知・岐阜・三重を中心にご対応しており、初回のご相談は無料です。お問い合わせフォームよりご連絡ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。