「そろそろ建設業許可がないと大きな工事を受けられない」「どこに何を出すのか分からない」——名古屋市内で事業をされている方から、こうしたご相談をいただきます。建設業許可は、要件を満たしているかどうかだけでなく、それをどの資料で証明できるかが実際の分かれ目になります。
まず確認したいのは「申請先」と「手元の資料」
ご相談前に確認しておきたいのは、申請先がどこかと、経験を証明できる資料が残っているかの二点です。これがはっきりすれば、許可を取れる見込みと準備期間の見当がつきます。資料の有無が分からないまま進めると、途中で手続きが止まりがちです。
名古屋市内に主たる営業所がある場合の申請先
愛知県内だけに営業所を置く場合は愛知県知事許可となり、主たる営業所が名古屋市内であれば申請先は都市総務課建設業・不動産業室(名古屋市中区三の丸、自治センター2階)、名古屋市外であればその所在地を管轄する建設事務所が窓口です。他県にも営業所を設ける場合は国土交通大臣許可となり、中部地方整備局への申請です。
愛知県は「仮受付」と「本受付」の二段階
愛知県では窓口での対面審査を行わず、郵送・投函・窓口で書類を預かる仮受付から始まり、内容確認と補正を経て本受付に進みます。手数料は本受付の際に来庁し、愛知県証紙またはキャッシュレス決済で納めます。仮受付では証紙を貼りません。県は本受付後の審査期間を概ね1か月、標準処理期間を23日(県の休日を含まない)としており、仮受付から本受付までの期間も見込む必要があります。
許可要件は4つの項目と欠格要件で確認する
愛知県の整理では、適正な経営体制と社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入、営業所ごとの専任技術者、誠実性、財産的基礎等の4項目に加え、欠格要件に該当しないことが求められます。財産的基礎は、直前の決算で自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、直前5年間の継続営業実績のいずれかで判断されます。なお「専任技術者」は令和6年12月13日施行の改正建設業法で営業所技術者等へ呼称が変わりました。要件自体に変更はありませんが、資料によって表記が混在しています。
つまずきやすいのは「証明書類の条件」
実務で問題になるのは金額そのものより条件です。資金調達能力を示す預金残高証明書は基準日が申請直前4週間以内のものが必要で、2枚以上になる場合は基準日をそろえます。取得が早すぎると使えません。また、許可期間の満了まで30日を切った更新申請などは、郵送や投函ではなく窓口受付となります。
相談前に手元で確認しておきたい資料
過去の確定申告書、注文書や請求書、契約書、常勤性が分かる資料、技術者の資格証が手元にあるかを確認しておくと話が早く進みます。すべてそろっていなくても構いません。何が残っていないかが分かれば、代わりに使える資料を検討できます。工事がどの業種に当たるか、経験をどう積み上げるかは事業者ごとに結論が変わります。
行政書士に依頼する意味
依頼の主な意味は、書類作成の代行そのものよりも、要件を満たせるかどうかの見通しを早い段階で立てられる点にあります。愛知県知事許可の手数料は新規9万円、業種追加5万円です。費用と時間をかけた後に要件不足が判明する事態を避けられるかが、結果的な負担の差になります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。