産業廃棄物収集運搬業許可の申請では、代表者や役員だけでなく、政令使用人に該当する人がいるかどうかが審査上の重要なポイントになります。該当者を取り違えたまま申請すると、補正や再提出につながります。
政令使用人とは誰を指すのか
産業廃棄物処理業における政令使用人は、廃棄物処理法施行令第6条の10に定められています。具体的には、申請者の使用人のうち、本店または支店(個人事業の場合は主たる事務所・従たる事務所)の代表者と、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集運搬や処分に係る契約を締結する権限を有する者が置かれている場所の代表者を指します。一般の従業員や運転者は含まれません。
役職名ではなく権限の実態で判断される
営業所長、支店長、事業所責任者といった肩書がそのまま基準になるわけではありません。判断の軸は、その拠点が継続的に業務を行える施設を備え、かつ廃棄物処理に関する契約締結権限を持つ者を置いているかどうかです。社内規程で部長や課長に契約締結権限を与えている場合でも、政令使用人として扱われるのはその部課長本人ではなく、所属する営業所や工場の代表者と整理されます。また、対象は申請先の自治体の区域内にある拠点に限られず、他県の支店等も含まれる点に注意が必要です。
欠格要件の確認対象になる理由
廃棄物処理業は生活環境の保全に直結する事業であり、現場で意思決定を行う立場の者にも適格性が求められるためです。役員と同様に、拘禁刑以上の刑を受けていないか、廃棄物処理法をはじめとする生活環境保全関係法令への違反歴がないかなどが確認されます。なお、かつて欠格要件とされていた成年被後見人・被保佐人は、令和元年の法改正で一律の欠格事由から外れ、現在は心身の故障により業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの、という規定に改められています。
提出書類のポイント
運用は自治体ごとに異なりますが、一般には政令使用人全員について住民票の写しと登記されていないことの証明書が求められます。前述の改正後も、実務上はこれらの提出を求める自治体が多いのが実情です。一方で名古屋市のように、一定の条件を満たせば住民票等を省略できる取扱いを設けている自治体もあります。略歴書の要否も自治体によって異なりますので、申請先の手引きで最新の様式と添付書類を確認してください。
許可取得後の変更届も忘れずに
政令使用人が交代した場合は、変更の日から10日以内に変更の届出が必要です(法人で登記事項証明書の添付を要する場合は30日以内)。人事異動に紛れて見落とされやすく、更新申請の段階で発覚することもあります。
申請前に体制を整理しておく
営業所が複数ある、代表者が他県に常駐している、拠点の責任者が実質的な決定権を持っているといった場合は、誰を政令使用人として申告するかの整理が特に重要です。産廃許可は書類の形式だけでなく、組織の実態に沿った申告かどうかが見られます。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。