2026年10月4日

専任技術者の専任性を妨げる移動距離について

建設業許可コラム 第23号

 建設業許可において、専任技術者の「専任性」は重要な審査ポイントです。その中でも実務でよく問題になるのが、次のような「移動距離」に関する問題です。

  • 自宅と営業所の距離
  • 通勤時間
  • テレワークの可否

 今回は、専任技術者の専任性と移動距離の関係を、法令と国の運用に沿って整理します。なお、令和6年12月施行の改正建設業法により、「営業所専任技術者」の名称は「営業所技術者」に改められています。本記事では、従来から使われている「専任技術者」の表記で説明します。

専任技術者の専任性とは

 専任技術者とは、その営業所に常勤し、専らその営業所の業務に従事する技術者をいいます。重要なのは次の3点です。

  • 常時勤務していること
  • 他の営業所や他社と兼務していないこと
  • 実質的にその営業所の技術管理ができること

 単に名義を置いているだけでは足りず、実態として常勤しているかが審査されます。

移動距離に明確な数値基準はあるのか

 法律上、「〇km以内」「〇分以内」といった一律の数値基準は定められていません。しかし、国の建設業許可事務ガイドラインでは、住所と営業所の所在地が常識上通勤不可能な程度に離れている者は、原則として専任とは認められないとされています。

 つまり、距離そのものではなく、日常的に通勤可能か、常時勤務できる実態があるか、という観点で判断されます。一部で「片道2時間」などが目安として語られることもありますが、これは法令上の基準ではありません。あくまで総合判断です。

テレワークは認められるのか

 現在のガイドラインでは、営業所技術者の「常時勤務」には、ICTを活用して営業所で勤務する場合と同等の職務を遂行でき、所定の時間中は常時連絡がとれる環境でのテレワークも含まれると示されています。

 ただし、住所が常識上通勤不可能な距離にある場合の取扱いは別に問題となります。したがって、営業所から著しく遠隔地での在宅勤務のみで専任性を満たすことは困難と考えるべきです。

行政庁が見る実務上のポイント

 移動距離が問題になる場合、行政庁は次のような事情を総合的に確認します。

  • 住民票住所と営業所所在地の関係
  • 雇用形態
  • 社会保険加入状況
  • 出勤実態
  • 他社との兼務状況

 単純な距離の問題ではなく、実態として専任しているかどうかが判断基準になります。確認資料や運用の細部は、許可行政庁ごとに異なる場合があります。

よくある誤解

 誤解1:距離が遠い=即NG
 数値基準はありません。総合判断です。

 誤解2:テレワークなら距離は関係ない
 通勤不可能な遠距離は、専任性を否定される可能性があります。

 誤解3:住民票が近ければ問題ない
 住民票だけでなく、実際の勤務実態が重視されます。

まとめ

 専任技術者の専任性は、単なる形式ではなく実態審査です。ポイントは一つ、「その営業所に常勤していると言えるか」です。営業所の設置場所や専任技術者の居住地によっては、申請前の段階で検討が必要になります。配置で迷われている場合は、事前に整理してから申請することが重要です。

 専任技術者の配置や通勤距離に不安がある方は、お早めにご相談ください。当事務所では、技術者の勤務実態や確認資料の整理から建設業許可申請まで一貫してサポートしています。愛知・岐阜・三重を中心に対応しており、初回相談は無料です。このページ内のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。