2026年6月25日

自賠責保険とは?交通事故の被害者を守るための”最低限の補償制度”

 自賠責保険(じばいせきほけん)とは、正式には「自動車損害賠償責任保険」と呼ばれる保険です。
交通事故の被害者を救済するために、すべての自動車・バイク(原動機付自転車・電動キックボード等を含む)の使用者に加入が義務づけられており、その根拠は自動車損害賠償保障法(自賠法)第5条に定められています。
この記事では、自賠責保険の目的・補償内容・加入しなかった場合の罰則・任意保険との違いについてわかりやすく解説します。

自賠責保険の目的

 自賠責保険の目的は、交通事故の被害者を“最低限”救済することです。
過失の有無にかかわらず、被害者が治療費・休業損害・慰謝料などを受け取れるよう設計されています。
運転者側ではなく、「被害者の保護」が第一に考えられた制度であり、これが自賠責保険の最大の特徴です。

補償される範囲と上限

 自賠責保険で補償されるのは「人身損害」のみです。
車や物の修理費(物損)は対象外となります。
主な補償上限(被害者1名あたり)は次のとおりです。

 ・傷害(けが)の場合:120万円まで(治療費・休業損害・慰謝料等の合計)
 ・後遺障害が残った場合:75万円〜3,000万円まで(後遺障害等級1〜14級により異なる)
  ※神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害が残り、常時介護が必要な場合は最高4,000万円
 ・死亡の場合:3,000万円まで(葬儀費・逸失利益・慰謝料等の合計)

 この金額を超える損害が発生した場合は、任意保険または加害者本人への請求による対応が必要となります。

加入しないとどうなる?

 自賠責保険は「強制保険」です。
未加入のまま車を運転すると、自動車損害賠償保障法第86条の3の規定により、次のような罰則が科せられます。

 ・1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
 ・違反点数6点(即、免許停止)
 ・車検が通らず、ナンバー登録もできない

 つまり、自賠責保険に加入していない車は公道を走ることができないということになります。

自賠責保険と任意保険の違い

 自賠責保険と任意保険は、補償の目的と範囲が大きく異なります。

 自賠責保険は、被害者救済のための最低限の補償です。
補償対象は「他人(被害者)の人身損害」のみであり、運転者自身や同乗者への補償はありません。
任意保険は、自賠責では補いきれない損害に備えるための保険です。
運転者自身・同乗者への補償や、相手車両・物件への損害(対物賠償)、弁護士費用特約なども含まれます。

 自賠責保険だけではカバーしきれない部分を補うため、任意保険への加入も実務上は不可欠といえます。

まとめ:制度の仕組みを知ることが、いざという時の備えになる

 自賠責保険は、法律で義務づけられた「被害者保護のための基礎的な補償制度」です。
しかし、実際の交通事故では補償上限を超えるケースも多く、任意保険の内容や被害者請求の手続きを理解しておくことが重要になります。
制度の仕組みを正しく把握し、万一の事態に備えることが、安心なカーライフの第一歩です。

 交通事故の被害者請求や保険手続きについてご不明な点がある場合は、行政書士へのご相談もご活用ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。