建設業許可を取得すると、大きな達成感があります。しかし、実はそこが「本当のスタート地点」です。許可を維持し、事業を続けていくためには、取得後も継続して法律上の手続きを行わなければなりません。にもかかわらず、日々の現場業務に追われる中で、つい後回しになってしまうケースが少なくありません。
このコラムでは、建設業許可取得後に特に忘れがちな4つの手続きと、放置した場合のリスクについてわかりやすくお伝えします。
① 毎年の「事業年度終了届(決算変更届)」
建設業許可を受けた事業者は、法人・個人を問わず、毎年の事業年度終了後4か月以内に「事業年度終了届(決算変更届)」を提出することが、建設業法第11条第2項によって義務付けられています。法人であれば決算月の4か月後の月末(例:3月決算なら7月末)、個人事業主であれば毎年4月末が提出期限です。
この届出には、その年度の工事経歴書・直前3年間の工事施工金額・財務諸表などをまとめて提出する必要があります。なお、税理士が作成した決算書をそのまま使用することはできず、建設業法の様式に組み替える作業が必要です。
未提出のまま放置すると、5年ごとの許可更新が受けられなくなります。また、公共工事の入札参加に必要な経営事項審査(経審)も事業年度終了届の提出が前提条件となっているため、工事の受注機会を大きく失うことにもつながります。さらに、建設業法第50条では6か月以下の懲役または100万円以下の罰金も規定されており、手続きの重要性は非常に高いものです。
② 変更が生じたときの「変更届」
代表者・役員・専任技術者の変更、営業所の移転や電話番号の変更など、申請内容に変更が生じた場合には、変更の内容に応じた期限内に変更届を提出する必要があります(建設業法第11条)。
変更届の提出期限は、変更内容の重要度によって「変更後2週間以内」「変更後30日以内」の2つに区分されています。特に経営業務の管理責任者や専任技術者の変更は2週間以内と期限が短く、届出漏れは許可要件を欠くことにも直結するため、最優先で対応が必要です。
変更届が適切に提出されていないと、許可の更新や業種追加の申請が受理されないケースが大半です。「後でまとめて出せばいい」と考えていると、更新直前になって過去分をすべて遡って作成しなければならない事態を招くことになります。
③ 5年ごとの「更新申請」
建設業許可の有効期限は5年間です。許可満了の30日前までに更新申請を行わなければ、許可は失効してしまいます。一度失効してしまうと、改めて新規申請をやり直す必要があり、その間は許可が必要な工事を受注できなくなります。
更新申請を受けるためには、過去5年分の事業年度終了届がすべて適正に提出されていることが前提条件です。また、許可申請時と同様に要件を満たしている必要があります。更新の手続きが滞ることなく行えるよう、日頃から許可の有効期限を把握しておくことが大切です。
④ 営業所への「建設業許可票(金看板)」の掲示
建設業許可を取得した事業者は、建設業法第40条に基づき、営業所(事務所)および発注者から直接請け負った工事の現場ごとに、所定の記載内容を記した標識(許可票)を公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません。
許可票のサイズは法令で定められており、営業所用は縦35cm以上×横40cm以上、工事現場用は縦25cm以上×横35cm以上が必要です(A4用紙での代用は不可)。なお、許可票は行政機関から交付されるものではなく、事業者が自分で準備しなければなりません。掲示義務を怠った場合には、建設業法第55条に基づき10万円以下の過料が科される可能性があります。
また、役員の変更や更新により記載内容が変わった場合には、許可票の内容も更新する必要があります。
手続きを怠るとどうなる?
上記の手続きを放置すると、最悪の場合は許可の取消・更新拒否という重大なリスクに直面します。それだけでなく、元請会社や発注者からの信頼を失うことにもつながります。建設業界において「信用」は事業継続の根幹です。「知らなかった」「忘れていた」では済まされません。
行政書士吉田哲朗事務所がまるごとサポートします
当事務所では、建設業許可取得後の各種手続きを一貫してサポートしています。
事業年度終了届・変更届・更新申請の提出期限のリマインドから、必要書類の準備・確認、書類作成から提出代行まで、すべてワンストップで対応いたします。
「更新はいつだったっけ?」「変更届、出したかな?」と少しでも不安を感じている事業者様は、まずはお気軽にご相談ください。建設業許可を「守る」ことが、事業を「続ける」ための第一歩です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。