2026年7月10日

交通事故の補償手続き|「被害者請求」と「一括請求」の違いを解説

 交通事故のケガに対する補償を受ける方法には、大きく分けて「一括請求(任意一括対応)」「被害者請求」の2つがあります。どちらも最終的には自賠責保険から支払いがなされますが、手続きを進める主体や、被害者が受け取れる金額・タイミングに違いが生じることがあります。ここでは、それぞれの仕組みとメリット・デメリットを整理します。

一括請求(任意一括対応)とは

 交通事故の直後によく使われる方法です。加害者が任意保険に加入している場合、その任意保険会社が自賠責保険分と任意保険分の賠償金をまとめて立て替え、被害者は窓口での自己負担なく治療を受けられます。手続きの手間がかからない点は大きな利点ですが、治療費の支払いや治療期間の見立てが任意保険会社の判断に左右されやすく、症状によっては治療の打ち切りを打診されることもあります。

被害者請求とは

 被害者請求は、被害者自身が加害者側の自賠責保険会社に対し、損害賠償額の支払いを直接請求できる制度です(自動車損害賠償保障法16条)。示談の成立を待たずに、自賠責保険の限度額の範囲内で支払いを受けられる点が特徴です。診断書やレセプトなど必要書類を自分で準備する手間はかかりますが、資料の内容を自分でコントロールできるため、症状や通院の必要性を正確に伝えやすくなります。また、後遺障害等級の認定手続きにおいても、任意保険会社に任せる「事前認定」に比べて、被害者請求の方が納得のいく資料をそろえやすいとされています。

どちらを選ぶべきか

 軽傷ですぐに治療が終わる見込みで、手続きの負担を減らしたい場合は一括請求が向いています。一方で、治療の打ち切りを打診された場合や、後遺障害の申請を検討している場合、示談交渉が長引き当面の費用に困っている場合などは、被害者請求を検討する価値があります。

項目一括請求被害者請求
手続きの主体任意保険会社被害者本人
治療費の負担立て替え払いで窓口負担なし必要に応じて自賠責へ直接請求
資料の準備保険会社が対応被害者が収集・作成
後遺障害申請事前認定(保険会社任せ)被害者請求(被害者主体)

 被害者請求は、示談の成立を待たずに賠償金を受け取れる、法律で認められた制度です。ご自身の状況に応じてどちらの方法が適しているか迷われる場合は、専門家に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。