2026年8月21日

建設業許可における常勤性の証明とは

 建設業許可の申請では、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)営業所技術者等(旧・専任技術者)について、常勤であることが求められます。この常勤性の証明は、単に在籍していることを示せば足りるものではありません。実態として日常的に勤務しているかどうかが、許可行政庁によって厳しく確認される重要なポイントです。

なぜ常勤性が求められるのか

 建設業は、工事の安全性や品質確保が社会的に強く求められる分野です。そのため許可制度では、人的体制が実効性をもって機能しているかが重視されます。最大の理由は責任の所在を明確にすること、いわゆる名義貸しを防ぐことにあります。常勤役員等には経営判断への継続的な関与が、営業所技術者等には工事の技術的管理を日常的に担える体制が求められます。名義上だけ配置された状態では、トラブル発生時に適切な判断ができず、発注者や下請業者に大きな影響を与えるおそれがあります。

常勤性の判断基準

 常勤性は「1日8時間・週5日」といった数値基準で決まるものではありません。原則として休日等を除き、所定の勤務時間中、その営業所で職務に従事していることが基本的な考え方です。実務では、他社に常勤していないか、別に個人事業を営んでいないか、社会保険の加入状況に矛盾がないか、勤務実態を裏付ける資料が揃っているかを総合的に見て判断されます。特に他法人の役員や従業員を兼ねているケース、個人事業主として別事業を行っているケースは、常勤性が否定されるリスクが高くなります。

常勤性を証明する主な資料

 愛知県では、令和7年12月2日以降に健康保険被保険者証が使用できなくなったことを踏まえ、確認書類の取扱いが変更されています。現在は、①健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書、②住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)、③所得証明書と源泉徴収票、④雇用保険被保険者証と資格取得等確認通知書という順に確認し、最初に当てはまった資料(申請時直近のもの)を用いる運用です。出向者の場合は、これに加えて出向契約書等の提示が必要になります。確認資料は行政庁ごとに異なるため、申請先の最新の手引きを必ず確認してください。

特に注意すべきポイント

 最も注意すべき点は書類上の整合性です。社会保険に加入しているのに給与の支払いが確認できない、他社の社会保険に加入している、報酬額が勤務実態に見合わないといったケースでは、常勤性に疑義が生じやすくなります。行政庁は書類の細部まで確認し、必要に応じて営業所の実態を調査することもあります。実態と異なる説明は、後の調査で問題となるおそれがあるため注意が必要です。

まとめ

 常勤性の証明は、見落とされがちですが人的要件の中でも特に重要な確認事項です。問われるのは「在籍しているか」ではなく、実際に継続して業務に従事しているかという点です。申請前に勤務実態・提出資料・社会保険や給与関係を整理し、整合性の取れた状態にしておくことが、円滑な許可取得につながります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。