先行許可証は「仮の許可」ではありません
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、「先行許可証」という言葉が出てきます。まず押さえておきたいのは、これが審査中の営業を認める仮許可ではないという点です。収集運搬を業として開始できるのは、正式な許可証が交付された後に限られます。先行許可証は、あくまで添付書類の一部を省略できる事務手続上の仕組みであり、根拠は廃棄物処理法施行規則第九条の二第八項(特別管理産業廃棄物については第十条の十二第二項)に置かれています。
先行許可証として使える許可証
愛知県の運用では、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬業および処分業の許可、これらの変更許可に加え、産業廃棄物処理施設の設置許可も対象に含まれます。他の都道府県や政令市が交付した許可証も使えます。処理業の許可証だけが対象と思われがちですが、施設の許可証も候補になる点は見落とされやすいところです。
省略できるのは欠格要件関係の書類
省略の対象となるのは、主に欠格要件の確認に用いる書類です。申請者本人、役員、発行済株式の五パーセント以上を保有する株主や出資者、政令使用人などについて、住民票の写し、欠格要件に該当しないかどうかを審査するための書類(従来の「登記されていないことの証明書」に相当するもの)、誓約書などが挙げられます。財務諸表や納税証明書は、これとは別の省略の仕組みによる取扱いです。
見落としやすい注意点
第一に、先行許可証として使えるのは規則所定の書類をすべて添付して取得した許可証に限られます。許可証の「規則第○条の○第○項の規定による許可証の提出の有無」欄が「無」となっているものが対象で、先行許可証を使って取得した許可証は、次回は使えません。
第二に、期間制限があります。愛知県では許可の日から五年間が使用できる期間とされています。
第三に、更新許可申請では、更新しようとする許可そのものに係る許可証を先行許可証とすることはできません。変更許可申請であれば使える場合があります。
このほか、先行許可証の原本提示を求める自治体、写しの提出で足りる自治体、対象を積替え保管を伴わない収集運搬業に限る自治体など、取扱いには幅があります。愛知県では、許可の日が令和二年三月末以前の先行許可証について、欠格要件を審査するための書類の省略を認めていないという運用もあります。
まとめ
先行許可証は、営業開始を前倒しする制度ではなく、書類収集の手間と費用を抑えるための仕組みです。使えるかどうかを事前に見極めておけば、不要な証明書の取得や補正・差戻しを避けられます。省略できる書類の範囲や提出方法は自治体ごとに異なるため、申請先の手引きを必ず確認してください。
先行許可証が使えるかどうかの判断や、産業廃棄物収集運搬業の許可申請でお困りの際は、このページ内のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。当事務所では、既存の許可証の確認から必要書類の絞り込み、申請書の作成・提出までを一貫してお手伝いしています。愛知・岐阜・三重を中心に対応しており、初回のご相談は無料です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。