補助金の採択通知が届くと、そこで一区切りついたと感じる事業者の方は少なくありません。しかし実際には、補助金が振り込まれるまでにいくつもの手続きが残っています。なかでも重要なのが、補助事業が終わったあとに提出する実績報告です。ここでつまずくと、採択されていても補助金を満額受け取れないことがあります。
実績報告は法令上の義務
実績報告は任意の報告ではありません。国の補助金については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)第14条により、補助事業等が完了したときは、その成果を記載した実績報告書を提出することが義務づけられています。自治体の補助金でも、各交付規則に同様の定めが置かれているのが通例です。「出せば早く入金される書類」ではなく「出さなければならない書類」だとご理解ください。
提出期限は想定より短い
提出期限は、補助事業の完了日から起算して30日を経過した日と、交付決定通知書等で定められた期限日とのいずれか早い日という形で定められている制度が多くみられます。日数は制度によって異なりますので、正確な期限は交付決定通知書や交付規程で必ず確認してください。事業終了後に書類を集め始めると、この期間はあっという間に過ぎます。証拠書類は事業の進行と並行して整えておくことが、期限内提出の最大のコツです。
補助金の額は実績報告のあとに確定する
見落とされがちですが、交付決定の時点では受け取れる金額はまだ確定していません。実績報告書の提出後、書類審査および必要に応じた現地調査を経て補助金の額が確定し、その後に請求・入金という流れになります。実際に支出した対象経費が交付決定額を下回れば、補助金は実績額をもとに再計算され、減額されます。原則として後払いであり、報告から入金まで数か月かかることも珍しくないため、資金繰りには余裕を持たせておく必要があります。
つまずきやすいのは証憑の不備
指摘を受けやすいのは、書類の体裁よりも支出の証拠、いわゆる証憑の不備です。見積書・発注書・契約書・納品書・請求書・領収書・振込明細といった一連の書類が揃い、日付・金額・宛名が矛盾なくつながっていることが求められます。支払記録の残らない現金払い、申請者名義になっていない領収書、交付決定前に発注した経費、計画と異なる仕様の設備の購入などは、補助対象外と判断されることがあります。書類の不備は、そのまま減額につながるとお考えください。
準備は交付決定を受けた時点から
実績報告は、事業が終わってから考える手続きではありません。交付決定を受けた段階で必要書類と期限を把握し、支出のたびに証憑を整えていく。これが結果として最も確実な方法です。また、事業内容や経費区分を途中で変更する場合は、事前に計画変更の承認を受ける必要がある制度がほとんどです。実績報告の段階で初めて変更が判明すると、その部分が補助対象外となるおそれがあります。
行政書士吉田哲朗事務所では、補助金の申請書類の作成に加え、採択後の実績報告に関する書類作成についてもご支援しております。なお、消費税の取扱いなど税務判断は税理士、雇用関係助成金は社会保険労務士の業務となりますので、必要に応じて各専門家と連携のうえ対応いたします。愛知・岐阜・三重を中心に、初回のご相談は無料です。このページ内のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。