建設業許可を取得したら、それで終わりではありません。許可業者には「事業年度終了届」を毎年提出する義務があり、これを怠ると5年ごとの更新ができなくなるおそれがあります。せっかく取得した許可を守るためにも、この届出の内容と重要性をしっかり把握しておきましょう。
事業年度終了届とは
事業年度終了届とは、その年度に行った工事経歴・直前3年間の工事施工金額・財務諸表などをまとめて許可行政庁に提出する届出書類です。正式名称は「事業年度終了届」ですが、地域によっては「決算変更届」と呼ばれることもあります(内容はほぼ同じです)。
この届出には、単に書類を出すという以上の意味があります。提出された財務諸表や工事経歴書は行政機関において一般に閲覧可能であり、発注者が建設業者を選定する際の判断材料としても活用されています。つまり、事業年度終了届は会社の信頼性を対外的に示す公的資料でもあるのです。
提出期限は「決算後4か月以内」
建設業法第11条第2項により、許可を受けたすべての建設業者(法人・個人を問わず)に提出が義務づけられています。提出期限は事業年度終了の日から4か月以内です。
たとえば、3月決算の法人であれば7月末日、12月決算であれば4月末日、9月決算であれば翌年1月末日が提出期限となります。また、個人事業主の場合は毎年4月末日が提出期限として定められています。
この期限は工事実績の有無や損益状況に関係なく適用されます。「今年は工事をしていない」「赤字だった」という場合でも、提出義務は変わりません。決算が確定したら速やかに書類の準備に取りかかることが重要です。
提出を怠るとどうなる?
提出を怠った場合のリスクは、大きく分けて3つあります。
まず、許可の更新ができなくなるという点です。建設業許可は5年ごとに更新が必要ですが、更新申請の受理には毎年の事業年度終了届の提出が条件となっています。未提出があれば、更新が受けられず許可が失効してしまいます。業種追加などの変更手続きも同様です。
次に、罰則の対象となるリスクです。建設業法第50条第1項第2号に基づき、提出義務違反には6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が規定されています。実務上、直ちに刑事罰が適用されることは多くありませんが、行政指導や許可取り消し処分につながる可能性もあります。
さらに、公共工事への参加に支障が出ることもあります。経営事項審査(経審)を受けるためにも事業年度終了届の提出が前提となるため、公共工事を受注したい事業者にとっては特に大きな影響があります。
提出に必要な主な書類
事業年度終了届には、以下のような書類を添付して提出します。
・工事経歴書(その年度に施工した工事を請負金額の大きい順に記載)
・直前3年の各事業年度における工事施工金額
・財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
・事業報告書(法人の場合)
・変更届出書(表紙となる書類)
財務諸表については、一般的な会計基準ではなく建設業法に基づく様式への組替えが必要になる点に注意が必要です。また、許可を受けた都道府県や地方整備局によって様式や添付書類の細部が異なる場合があります。
提出方法に不安があるときは
事業年度終了届は、書類の種類が多く、建設業特有の会計処理への組替えも必要なため、初めて取り組む方には負担の大きい手続きです。「書き方がよくわからない」「何を揃えればいいかわからない」という場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
行政書士は、工事経歴書の作成から財務諸表の組替え、提出期限の管理まで、事業年度終了届に関する手続きをトータルでサポートすることができます。許可取得後の維持管理についても、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。