症状固定とは何か
交通事故の治療を続けても、これ以上の回復が見込めないと医師が判断した状態を「症状固定」といいます。これは「完治した」という意味ではありません。治療を続けても改善が期待できなくなった医学的な区切りであり、痛みや不快感が残ったままであることも少なくありません。
症状固定日は医師が判断するものです。ただし実務では、治療の長期化を理由に保険会社が医師へ早期固定を打診するケースも見られます。症状が続いているときは、受診のたびに医師へ正直に伝えることが重要です。
症状固定を境に、被害者請求できる項目が変わる
自賠責保険への被害者請求は、症状固定によって「できなくなる」のではなく、請求できる損害の種類が切り替わります。
症状固定前(傷害部分)は、治療費・通院交通費・休業損害・入通院慰謝料などが請求対象です。症状固定日以降の治療費や通院費は、原則としてこの傷害部分の被害者請求の対象外となります。
症状固定後(後遺障害部分)は、後遺症が残っている場合に後遺障害等級の認定申請を行い、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求することができます。この後遺障害部分の被害者請求は、症状固定日の翌日から3年以内に行う必要があります。
被害者請求とは
被害者請求とは、交通事故の被害者が、加害者の加入する自賠責保険会社へ直接、損害賠償金の支払いを請求する手続きです。自動車損害賠償保障法第16条に定められた被害者固有の権利であり、加害者側の任意保険会社を通さずに請求できます。
加害者側の任意保険会社に手続きを任せる「事前認定」と異なり、被害者請求では提出書類をすべて事前に確認できます。そのため、症状の実態をしっかり伝えやすく、後遺障害等級の認定において実情に合った結果につながりやすいというメリットがあります。
被害者請求の主な流れ
被害者請求は、おおむね次の流れで進みます。まず、交通事故証明書で加害者側の自賠責保険会社を確認し、必要書類一式を取り寄せます。次に、診断書・診療報酬明細書・通院交通費の領収書などの書類を揃えて自賠責保険会社へ提出します。書類は「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所が審査し、その結果に基づき各保険会社が支払額を決定します。傷害部分のみの請求であれば、通常は1か月程度で支払いに至りますが、後遺障害認定の申請を含む場合はさらに時間を要することがあります。
後遺障害の被害者請求では、医師に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。提出する書類の内容や充実度が等級認定の結果を左右するため、書類の準備は慎重に進めることが大切です。
行政書士に相談すべきタイミング
被害者請求に必要な書類は多岐にわたり、記載内容の不備や漏れがあると、本来受けられるはずの補償を受け損ねるおそれがあります。特に後遺障害部分の請求では、どのような書類を準備するかが結果を大きく左右します。
行政書士は、診断書・領収書・通院記録の整理、請求書類一式の作成、提出までのサポートを行い、被害者が不利益を受けないよう手続きを整えます。症状固定前の傷害部分の請求も、症状固定後の後遺障害請求も、早めに相談することで手続きをスムーズに進めることができます。行政書士吉田哲朗事務所では、被害者請求の書類整理・申請支援を承っています。お気軽にご相談ください。
まとめ
症状固定後であっても、被害者請求が一切できなくなるわけではありません。傷害部分の請求から後遺障害部分の請求へと切り替わるのが正しい理解です。後遺障害等級の認定申請は症状固定日の翌日から3年以内に行う必要があり、書類の準備が結果を左右します。手続きに不安を感じたら、まずは行政書士へご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。