2026年7月2日

建設業許可申請になぜ「経営業務管理責任者」が必要なのか

経営業務管理責任者とは

 建設業許可を取得するためには、「経営業務の管理を適正に行える体制」を確保することが求められています。その中心となるのが「経営業務管理責任者(経管)」です。

 建設業法第7条第1号に規定されるこの要件は、単なる肩書きや役職ではなく、適正な経営判断ができる人材が会社に存在することを担保するための基準です。法人の場合は常勤役員のうちの1名、個人事業主の場合は本人または支配人が、この要件を満たす必要があります。なお、配置は主たる営業所に1名いれば足り、営業所ごとへの配置は必要ありません。

なぜ「5年以上の経営経験」が必要なのか

 建設業は、請負契約・下請管理・労務・安全管理・資金繰りなど、他の産業とは著しく異なる特徴を持つ業種です。国土交通省も「建設業の経営は他の産業と異なった特徴を有する」として、経営業務について一定期間の経験を持つ者が最低1名は必要であると定めています。

 具体的には、次のいずれかの経験が求められます。

 ①建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者としての経験
 ②経営業務管理責任者に準ずる地位での5年以上の経営業務管理経験
 ③経営業務管理責任者を補佐する地位での6年以上の経験

 これらの経験は「在籍していた」だけでは認められません。契約・会計・労務など経営業務を総合的に管理した実績が求められ、書面での証明が必要です。

令和2年改正で「組織体制」での対応も可能に

 令和2年10月の建設業法改正により、要件の満たし方が広がりました。従来は特定の個人(常勤役員等)が経営経験を有することが必須でしたが、改正後は常勤役員等と「補佐者」の組み合わせによって組織全体として要件を満たすことも認められています。

 たとえば、役員の経営経験が2年以上あり、財務管理・労務管理・業務運営の各業務について5年以上の経験を持つ補佐者を配置することで、許可要件を充足できます。これは、経営者の高齢化や退任による許可失効リスクを軽減するための措置です。

許可維持にも欠かせない経営体制の安定

 建設業許可は「一度取れば終わり」ではありません。経営業務管理責任者が退任・死亡などで不在となった場合、原則として許可を継続できなくなります。後任者が決まらないまま放置すれば、廃業届の提出義務や許可取消処分の対象となります。

 そのため、申請段階から「誰がこの要件を担うのか」「後継者候補をどう育てるか」を見据えた体制づくりが重要です。この制度は、事業の信頼性を守るための”安全装置”でもあります。

まとめ

 経営業務管理責任者の要件は、建設業の特性に応じた経営能力を担保するための制度です。令和2年の法改正によって要件の満たし方は多様化しましたが、「経営を適正に判断できる人材・体制があるか」という本質は変わりません。許可申請では、経験を正しく整理し、証明できる形に整えることが大切です。お困りの際は、ぜひ当事務所へご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。