2026年7月17日

大臣許可と知事許可の違い

 建設業許可には「大臣許可」と「知事許可」の2種類があります。この違いを分けるのは、会社の規模や取引金額ではなく、営業所(事務所)をどこに置いているかという一点です。制度としてはシンプルですが、実務では誤解されやすい部分でもあるため、ここで整理しておきましょう。

1 大臣許可とは(複数都道府県に営業所がある場合)

 大臣許可は、2つ以上の都道府県に営業所を置いて建設業を営む場合に必要となる許可です。たとえば本店を愛知県に、支店を岐阜県に置くようなケースが該当します。注意したいのは、工事の施工場所が複数県にまたがっていても、それだけでは大臣許可の対象にはならないという点です。あくまで判断基準は営業所の所在地です。

2 知事許可とは(1つの都道府県に営業所がある場合)

 知事許可は、営業所が1つの都道府県内にしかない場合の許可です。本店のみ愛知県にあり、他県に営業所を持たなければ、愛知県知事許可で足ります。「知事許可=県内工事限定」と誤解されがちですが、実際には知事許可の業者でも全国どこでも施工が可能です。

3 営業所として認められる条件がポイント

 区分の分岐で重要なのは、「営業所」として行政庁から認められる実体があるかという点です。一般的には、電話・机など事務設備が常設されていること、契約締結の権限を持つ責任者や専任技術者が常勤していること、見積・契約・管理業務を日常的に行っていることなどが求められます。登記上の住所のみの拠点や、実体のないバーチャルオフィスは営業所とは認められません。

4 許可の難易度に違いはない

 「大臣許可は審査が厳しく、知事許可は簡単」というイメージを持たれることがありますが、これは誤りです。財務要件や専任技術者の要件など、審査内容は基本的に共通しており、変わるのは許可を出す主体(国か都道府県か)だけです。

5 まとめ

 大臣許可は複数都道府県に営業所がある場合、知事許可は1つの都道府県のみに営業所がある場合に必要となります。判断基準は工事場所ではなく営業所の所在地であり、許可の難易度自体に優劣はありません。営業所の実体をどう整えるかは、今後の事業展開にも直結する重要なポイントです。営業所の設置や許可区分の選択でお悩みの際は、専門家にご相談することをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。