2026年7月25日

交通事故当事者に発生する3つの責任

 交通事故が起きると、当事者にはさまざまな責任が生じます。多くの方が「保険の話」だけを思い浮かべがちですが、実際には責任の種類は一つではありません。交通事故では、主に民事責任・刑事責任・行政責任という3つの責任が問題になります。

民事責任

 民事責任とは、被害者に対して損害を賠償する責任です。交通事故で相手にケガをさせたり、車や物を壊した場合、加害者はその損害を金銭で補う必要があります。治療費、修理費、休業損害、慰謝料などがこれに含まれます。多くの場合は自動車保険(任意保険や自賠責保険)によって支払われますが、保険ですべてがカバーされるとは限らず、過失割合によっては自己負担が生じることもあります。

刑事責任

 刑事責任とは、事故の内容によって国から処罰を受ける責任です。人身事故の場合、過失運転致死傷罪などが問題となり、罰金や拘禁刑(懲役・禁錮)が科される可能性があります。被害者と示談が成立していても、刑事責任が自動的に消えるわけではありません。事故の態様や結果の重大性によって、捜査や裁判が行われることがあります。

行政責任

 行政責任とは、運転免許に対する処分です。交通事故を起こすと、点数制度に基づいて違反点数が加算され、一定の基準を超えると免許停止免許取消といった行政処分が行われます。この処分は、民事責任や刑事責任とは別に判断されるため、示談が成立していても免許処分が免除されるわけではありません。

3つの責任はそれぞれ独立している

 重要なのは、民事責任・刑事責任・行政責任は、それぞれ別の基準で判断されるという点です。「保険で解決したから終わり」「示談したから大丈夫」――そう思っていても、後から刑事手続きや免許処分が進むケースは少なくありません。

まとめ

 交通事故を起こした場合、当事者には、被害者への損害賠償を行う民事責任、法律違反として処罰を受ける刑事責任、免許に対する処分を受ける行政責任という3つの責任が発生します。交通事故後は、感情的にならず、どの責任がどの段階で問題になるのかを冷静に整理することが大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。